水道管の破裂をAI で検知する
木村 優志
Published: 5/25/2025, 9:29:00 AM

日本各地で水道管が耐用年数を迎え、破裂する事故が起きています。
2025年4月30日には、京都市下京区で水道管が破裂し、国道1号線が冠水しました。
「NHKニュース: 京都 下京区の道路冠水 破損の水道管は交換目安の60年超」
5月10日には、今度は大阪市城東区でも破裂しています。埼玉県八潮市の道路陥没事故も、下水管の破損が原因でした。
相次ぐ水道管の問題をAIで解決できないでしょうか。
総務省は、総務省は既存の光ファイバー網をセンサー代わりに使って老朽水道管など地下インフラを監視する技術を開発すると発表しています。
「日本経済新聞: 老朽水道管、光ファイバー網で監視 道路陥没防止へ総務省が開発支援」
この記事では、音声AIをつかって水道管の破裂を検知するサーベイ論文を紹介します。
Yicheng Yu, Ali Safari, Xudong Niu, Bruce Drinkwater, Kirill V. Horoshenkov, Acoustic and ultrasonic techniques for defect detection and condition monitoring in water and sewerage pipes: A review, Applied Acoustics, Volume 183, 2021, 108282, https://doi.org/10.1016/j.apacoust.2021.108282.
この論文では、主に、音声(ハイドロフォン:水中マイク)と超音波、加速度センサーを使った水道管の破裂検査について紹介しています。論文内には、光ファイバーをつかった検出法についても触れられています。
■ハイドロフォンによる方法
ハイドロフォンでの検査は以下のようなシステムです。
水道管に図下部の青色の方形波のような圧力をかけるとき、漏水の無い管では、青色の方形波がそのまま観測されます。一方で漏水がある管では、黒色のグラフのように波形が崩れて検出されます。
■超音波による方法
超音波を使ったシステムは以下のようになります。
水道管に超音波をあてて、なにか破損があると、超音波が跳ね返ってくるのでそれを検出します。
■光ファイバーによる方法
総務省が取り組もうとしている、光ファイバーによる方法は以下のようなシステムです。
水道管に光ファイバーを巻いて、水圧などの変化を光の位相の変化から読み取る方法です。 既存の光ファイバー網が一部利用できるとはいえ、一概に簡単とも言い切れないことがわかると思います。
ここでは、水道管の破損をAIで検査する方法について紹介しました。 他にも、データ駆動によるものなどいくつかの方法があります。
AIを活用すれば、我々の生活はもっと便利に安全になっていきます。