〈超知能〉迫る大転換(1)人類が生む最後の大発明 そしてAIは自己改良を始めるーへのコメント
木村優志
Published: 6/2/2025, 9:28:00 AM

今日(2025/06/02)の日経新聞一面に、 〈超知能〉迫る大転換(1)人類が生む最後の大発明 そしてAIは自己改良を始めるという記事が掲載されました。超知能と題した特集で、何回かに渡って掲載されるようです。超知能はArtificial Super Intelligence, ASI と呼ばれます。今回はこの記事に対するコメントを書こうと思います。
記事では、メタのチーフAIオフィサーであり、ノーベル賞受賞者でもあるヤン・ルカン博士が別の研究者から「今は何を研究すべきでしょうか」と聞かれ、こう答えます。
「大規模言語モデルには取り組まないほうがいい」
大規模言語モデル(LLM)は言わずと知れた、GPTなどのことです。
ルカン博士は大規模限後モデルには「根本的な限界がある」と述べます。私も同じ立場です。大規模言語モデルは、言語予測性能が非常に高い言語モデルです。しかし、言語モデルであるという限界があります。
GPTはすでに一般的な人間より十分賢いですが、すごく賢い人間の劣化コピーです。それを超えることはありません。
では、どうすればいいのでしょうか?ルカン博士はこう答えます。
「自ら世界を観察して学ぶ、全く新たな設計が必要になる」
私も大規模言語モデルの延長線上に超知能(ASI)は無いと思っています。
一方で、大規模言語モデルは十分に便利です。多くのことが大規模言語モデルで可能になるでしょう。しかし、それが、超知能に結びつくのかというのはべつの話です。大規模言語モデルはどちらかというと人間の効率を増加させるツールです。人間を超える知能を実現するためには、また違ったアプローチが必要になるでしょう。