〈超知能〉迫る大転換(3)AI、生命をも「デザイン」ーへのコメント
木村 優志

今回は、日経新聞の超知能特集の3回目「〈超知能〉迫る大転換(3)AI、生命をも「デザイン」」へのコメントです。
この記事では、スタンフォード大学が2月に発表した、ヒトを含む約1万5000種類の動植物のゲノム(全遺伝情報)を学習させた生成AI「Evo(イーボ)2」を紹介しています。Evo2は、ソースコードも公開(githubへのリンク)されています。
DNAは、アデニン(A)、グアニン(G)、シトシン(C)、チミン(T)の配列なので、テキストと同じように文字列として処理することができます。Evo 2 でも StrypedHyena 2という LLM が利用されています。
記事中で、スタンフォード大のブライアン・ヒー博士は「将来は全く新しい生命体をデザインできるようになる」と言っています。また、難病を治す医薬品や、プラスチックの生分解、素材開発などに大きく資すると紹介されています。大きな可能性を秘めた技術というわけです。
ただし、記事の最後では、以下のように警告しています。
米国政府に科学政策を助言する全米科学・工学・医学アカデミーは3月、生成AIが有害な生物兵器の開発に悪用されるリスクに警鐘を鳴らす報告書を公表した。人類はすでに、取り返しのつかない「パンドラの箱」に手をかけてしまった恐れがある。
AIの生物科学への応用は今に始まったことではありません。Google DeepMind の研究者らは、タンパク質の構造予測AI、AlphaFoldの開発によって、2024年にノーベル賞を受賞しています。
AIをどのように社会規範に合わせていくか、というのは、AIアライメントと呼ばれる問題です。AIアライメントは1960年から議論されてきたものですが、AIの可能性が現実になるにつれ、再び注目されています。ノーベル賞受賞者でもあり、 ディープラーニングの初期の研究に大きく貢献した、ヨシュア・ベンジオ博士は、AIを監視するAIを作るLowZeroという組織を立ち上げました。
AIは大きな応用力を持つゆえに、それをどのように制御していくのかということが、いま問いかけられています。



