〈超知能〉迫る大転換(5) オープンAI元社員の警鐘 私利私欲のためにあらずーへのコメント

木村 優志

Published: 6/7/2025, 2:37:00 AM

eye catch

今回は、日経新聞の超知能特集の5回目、「〈超知能〉迫る大転換(5) オープンAI元社員の警鐘 私利私欲のためにあらず」へのコメントです。

記事の内容は、基本的にはOpen AI社内のうちわもめの話です。もともと、非営利組織であったOpen AIを営利組織にする変更に対し、元Open AIの研究者が「世界に対する侮辱だ」と訴えています。続いて、非営利組織としての看板をおろしてしまえば、AIの安全性に対する活動がおろそかになると警告しています。

しかし、大規模言語モデルは、Open AI 一強の時代はすでにおわり、Google の Gemini や Anthoropic の Claude などとの群雄割拠時代に突入しています。また、生成AIのオープンイノベーションを牽引しているのも、すでに Open AI ではなく、Meta の LLama や、Alibabaの Qwen です。これらはオープンソースとして提供され、学習済み重みファイルも提供されています。実際に、研究の場面でも LLama や Qwenをベースにしたシステムは多数登場しています。たとえば、LLama をベースにした音声合成システムである、 LLasa (arXiv, github)などです。

AI Ethics (AIの倫理)の分野では、The Partnership on AIが一定の存在感を示しています。

Open AIは大規模言語モデルの分野で先行者利益を得ましたが、これからは競争が激化していくと予想されます。AIの倫理の分野では、1プレイヤーの意思のみが反映されるのではなく、様々なステークホルダーの合意によって進んでいくことになるでしょう。


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