課題解決からビジネス実装まで:Convergence Lab. が提案する受託研究開発の理想的なフロー

木村 優志

Published: 2/25/2026, 5:09:00 AM

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AI技術がコモディティ化し、誰もが手軽に高度な生成AIに触れられる時代になりました。しかし、多くの企業が直面しているのは、「汎用的なツールを広く浅く導入してみたものの、肝心の業務効率化や付加価値の向上に繋がっていない」という現実です。

ビジネスの競争優位性は、誰もが使えるツールを導入することではなく、自社独自の複雑な課題や暗黙知に対して「深く狭く」AIを適応させることで生まれます。

Convergence Lab.(コンバージェンス・ラボ)では、単なるシステムの受託開発にとどまらず、お客様のビジネスの核心にある「深い課題」を捉え、技術的な実現可能性を共に模索する「受託研究開発」を提供しています。

今回は、私たちがどのようにして「深く狭い」課題に光を当て、実用的なソリューションへと昇華させているのか、その研究開発フローの核心をご紹介します。

1. ヒアリング:課題の本質を解き明かし、KPIを定義する

「深く狭い」導入を実現するために、最初の一歩は技術的なスペックを決めることではありません。ビジネス上の「痛み」や、プロジェクトが成功した際の「理想の姿」を深く、多角的に理解することから始まります。

  • ボトルネックの特定: 現状のオペレーションにおいて、どのプロセスがもっとも時間やコストを費やしているのか?
  • データの深掘り: どのようなデータが、どのような頻度で、どの程度の品質で蓄積されているか?
  • UX(ユーザー体験)の定義: 最終的にそのAIに触れる人は誰で、どのような感情的・実務的価値を得るべきか?

これらを丁寧に紐解き、単なる「AI導入」ではなく、その企業の固有の文脈に沿った「課題解決のためのAI」としての要件を明確に定義します。ここでは、AIをビジネスロジックのどの深さに、どのような形で結合させるのがもっともインパクトが大きいかを徹底的に突き詰めます。

2. 戦略立案:理論と実践を繋ぐ、最適な解決策の議論

課題が定義されたら、次は技術的なアプローチの選定です。私たちは最新のアカデミックな論文やグローバルな技術トレンド、実用的なオープンソースライブラリまで、幅広い知見をもとに徹底的なディスカッションを行います。

ここでは、画一的なパッケージを提案することはありません。「精度・コスト・速度・拡張性」という四角形のバランスを考慮し、お客様のビジネス環境に最適化された複数のシナリオを提示します。

【深掘り事例】フルデュプレックス音声対話モデルの構築

現在、私たちが注力している**「フルデュプレックス(全二重)音声対話モデル」**のプロジェクトでは、この戦略立案フェーズが成否を分ける鍵となりました。

従来の「ユーザーが話し終わるまで待つ」AIとは異なり、人間同士の会話のように「相手の話を遮って反応する」「適切なタイミングで相槌を打つ」という高度な自然さを実現する必要があります。これは、汎用AIを「浅く」使っていては決して到達できない領域です。音声活性検知(VAD)の感度調整や、応答生成におけるストリーミング処理の最適化など、どのポイントでレイテンシ(遅延)を削り、どの推論エンジンを組み合わせるべきか、緻密なロジック設計を積み重ねました。

3. PoC(Proof of Concept):カスタムAIの試作とリスク排除

議論した理論が、実際のデータや環境下で本当に機能するかを証明するのがPoC(概念実証)フェーズです。ここでは、汎用モデルのAPIを呼び出すだけではなく、お客様独自のドメイン知識を反映させた「カスタムAI」のプロトタイプを構築します。

フルデュプレックス音声対話の例では、具体的に以下のような技術的検証を繰り返し、プロトタイプの精度を磨き上げます。

  • パイプラインの垂直統合: ASR(音声認識)、LLM(言語モデル)、TTS(音声合成)をバラバラに動かすのではなく、一つの滑らかなパイプラインとして統合し、処理の衝突を防ぐ。
  • 割り込み検知の高度化: ユーザーの意図的な割り込みと、単なる周囲のノイズをいかに高い精度で判別するか。
  • 低遅延の極限追求: インタラクションの違和感をなくすため、1秒以下のレスポンスタイムをあらゆるネットワーク条件下で達成できるか。

このフェーズで「動くもの」を早期に確認することで、大規模投資の前に技術的な不確実性を排除し、プロジェクトの成功確率を飛躍的に高めます。

4. PoB(Proof of Business):ビジネス適応と実運用への橋渡し

PoCで「技術的に可能」であることが証明されたら、次はいよいよ**PoB(Proof of Business:ビジネス価値の証明)**へと進みます。実験室での成功を、特定の業務フローという「狭い領域」での成功へと変換するフェーズです。

  • 実務への適合性: 現場スタッフが直感的に操作でき、既存の業務フローを破壊せずに導入できるか?
  • ROI(投資対効果)の検証: 導入によって具体的に何時間の削減、あるいは何%の成約率向上に寄与したか?
  • サステナビリティ: 導入後のモデル更新やメンテナンス、セキュリティ対策が持続可能な構成になっているか?

私たちは、開発したAIを「技術的な展示品」で終わらせることはありません。お客様の基幹システムや実際のワークフローにシームレスに溶け込ませ、ビジネスの成果として数字に現れるまで伴走します。

結論:研究と実装のギャップを埋め、決定的な競争優位を築く

AIはもはや魔法の言葉ではなく、戦略的な資産です。しかし、最先端の研究成果を、堅牢かつ高パフォーマンスなプロダクトへと昇華させるまでには、広大な「技術的死の谷」が存在します。

Convergence Lab.の役割は、その谷を埋めるプロフェッショナルな架け橋となることです。私たちは、単なる外部ベンダーとして指示を待つのではなく、技術の限界に挑むパートナーとして、お客様のビジネスに決定的な変革をもたらす「解」を提示します。

ミリ秒単位のレスポンスが求められるリアルタイム処理から、独自のデータセットに基づく高精度な推論モデルまで。既存の枠組みでは解決不可能な課題こそ、私たちの真価が発揮される舞台です。「広く浅い」AI導入の先にある、圧倒的な技術的優位性を共に築き上げましょう。


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